お急ぎの方へ(3)

 

餌とフンについて

【1】餌の種類

放野まで、あるいは長期に保護することになった場合、栄養が偏らないように餌を与えてください。とくにビタミン不足は大敵です。
つばめは動物(昆虫)食です。パン、穀類、牛乳、果物は与えないで下さい。

 

自然の虫

つばめは昆虫だけを食べる鳥なので、生きた虫を与えるのが一番良いです。
野生ではトンボ、羽虫、蛾、蝶、ハネアリ、アブ、ミツバチ、メイガ、ヨコバイ等
飛翔性昆虫を食べています。
飛ぶ虫はなかなか捕まらないですが、夜間に自販機の周りに虫が集まるのを狙うと良いです。放野することを考えれば、自然の中に居る虫を食べて育つのが一番です。
飛翔性昆虫が手に入らなければバッタやコオロギ、ワラジムシなどでも結構です。

※ミミズ、赤虫は与えないで下さい!

 

<虫を与える時の注意点>
虫の多くは強いアゴを持っていますので頭を潰して弱らせてから与えます。
大きいものは切り分け、トゲのある足なども喉を傷つける事がありますので取って与えます。

 

・ トンボやバッタなど大型の虫
赤裸のヒナには中身をこし出して与えます。
羽管(白いとげのようなもの)が多く残っていて羽根が生えそろっていないようなヒナには頭や固いハネ、足を取り、小さく切り分けて与えます。

 

・ バッタやコオロギ、イナゴなど足の強いものは足を取ります。
羽根が固いもの、大きすぎるものは消化できずにそ嚢で詰まる事がありますので避けます。
万が一こうした虫が詰まった場合(餌を食べなくなったり元気がなくなったりする)は、無理に引っ張り出すと喉や内臓を傷めます。補液保温で様子を見て下さい。
うまく中で溶けたら自力で吐き出します。吐き出さない場合は獣医さんへ!

 

・ 蜂・アブは小型のものを選び、針を取って与えます。(怪我に注意!)

 

購入できる虫

自然の虫が手に入らない場合、ペットショップで生きた虫を買う事ができます。
これらの虫は必ず栄養改善してからつばめに与えるようにしてください

→栄養改善法へ

 

○ミルワーム
穀物に付く害虫(チャイロコメノゴミムシダマシ)の幼虫です。
安価で入手しやすく、冷蔵庫で長期保管も可能なので便利です。
夏は常温で保管するとすぐにさなぎに成長してしまい、またダニも付きやすいので冷蔵庫で保管します。冷蔵庫に入れると冬眠のような状態になり、餌は食べません。
ミルワームのさなぎを与えるとつばめが喉につめることがあります。
さなぎを与える時は切り分けて与えるか、ぬらして喉の通りを良くして下さい。
また外殻はキチン質(甲殻類の殻の成分)が多いため、固く消化しにくいので、
脱皮して間もないもの(白っぽいもの)から与えます。

○ジャンボミルワーム(ジャイアントミルワーム、スーパーワーム)
ツヤケシオオゴミムシダマシの幼虫です。
ミルワームより大きく、カルシウムを多く含んでいます。
大きいサイズはツバメには不向きですが、小さいサイズを選んで購入すればツバメでも飲み込めます。
(ジャンボミルワームに関する情報は掲示板で『ひげ』さんから頂きました。)
※外殻が固いので、消化の悪い子にはお勧めではありません。

○ハニーワーム
蜂の巣に寄生する蛾(ハチノスツヅリガ)の幼虫です。
これは脂肪分が多く高カロリーですので、与えすぎに注意して下さい。

○コオロギ
ヨーロッパイエコオロギやフタホシコオロギなど。
爬虫類の餌として販売されています。通販でも手に入ります。
コオロギはミルワームに比べ、たんぱく質・カルシウムが豊富で脂肪が少ないので優秀な餌ですが、動きが早いので扱いが難しく、飼育も手間がかかるのが欠点です。
また、水濡れに弱いという欠点もあり飼育は多少難しいです。

○ホソワラジムシ
ワラジムシの一種。外殻が比較的薄く消化しやすい生き餌で、骨を形成するために必要な炭酸カルシウムを多く含んでいます。

 

すり餌・その他補助食品

特に購入下虫を与える場合は栄養が偏らないよう補助食品も利用しましょう。

 

○すり餌
植物性飼料(大豆・米糠・麦粉・玄米等)と動物性飼料(フナ粉等)を配合した 日本古来の飼料です。
植物性飼料を「上餌(うわえ)」、動物性飼料を「下餌(したえ)」と呼び、下餌の割合が大きい順に、7分、6分、5分、3分などが市販されています。つばめのような動物食の野鳥には7分のすり餌が適しています。
7分のものが手に入らず5分や3分のものしか無かった場合、ドッグフードをふやかしたものか、ゆで卵のすり潰したものを加えて動物性たんぱく質を多くして下さい。
ビタミンの補給のため、小松菜をすり潰したものを混ぜるか、青汁、小鳥用ビタミン・カルシウムなどの栄養剤を加えても良いです。

 

<すり餌の与え方>
ぬるま湯などでお味噌程度の堅さに練って与えます。
(水分はヒナの飲み込む様子やフンをを観察して調節します。)
一度の給餌で与える量の目安は、練ったすり餌あずき大の塊を3〜4つ程度です。
割り箸の先をへらのように削った物(尖ったものは危険です)や、プリン等についてくるプラスティックの小さいスプーンの持ち手が与えやすいです。すり餌を盛った側を下にして喉の奥に入れてやると、残さず舌で舐め取りますので、くちばしに付きにくいです。
 ペットショップに売っている飼い鳥用のシリンジ型給餌器「育て親」も便利です。

給餌器を使ったすずめのヒナの給餌の様子が動画で見れます。
(↑こちらをクリック)
すずめもつばめもヒナの頃の食べ方は同じようなものですので参考にしてください。 

 

<すり餌の保存について>
すり餌は水を足すと大変腐りやすいので、あまり作り置きは出来ません。
常温で置く場合は数時間〜半日で作り替えてください。特に夏場は腐りやすいので必ずに匂いを嗅いで確認してください。冷蔵庫に入れる場合はレンジで温めて人肌より少し温かい程度にして与えます。
タマゴや小松菜などを混ぜる場合は個別にペースト状にしたあと1回分ずつをラップに小分けして冷凍保存し、すり餌に混ぜる前に解凍すると便利です。
使用前のすり餌のパックは虫が発生する事がありますので冷蔵庫で保管します。
ラップに小分けして冷凍保存し、すり餌に混ぜる前に解凍すると便利です。

 

<すり餌を与えるコツ>
つばめは虫が大好きですので、一度虫の味を覚えると、すり餌を嫌がるようになります。すり餌を与える時は空腹時の一口目に与えるようにしましょう。
特にミルワームなど売られている虫を与えている場合は栄養が偏りやすいので諦めずに食べるまで粘ってください。ミルワームにまぶして与えるのも良いです。
ミルワームに数箇所切れ目を入れるとうまくすり餌が絡まるそうです。(白馬さん情報)
また、てんぷらの衣の要領でミルを青汁に漬けてからすり餌をまぶす、すり餌の代わりに無塩煮干粉をまぶす、なども良いそうです。(ピルクルさん情報) 

 

○サプリメント
栄養剤は、飲み水や餌に混ぜるタイプのものがペットショップにあります。
動物病院でも処方してもらえます。
→ネクトンシリーズHP
お勧め:成長期にはネクトンS(ビタミン)、ネクトンMSA(ミネラル・カルシウム)
→現代製薬小鳥用サプリメント
お勧め:カルビタバード、カルマグ(基本栄養剤)、サンザシバード(整腸薬)

 

○すり餌以外のペットフード

・ ドッグフード
ドッグフードは野菜と肉のバランスが良いので便利です。子犬用のものを水でふやかして与えると良いです。
犬用の鶏のササミのペーストフード(缶)をミルワームにのせて与えるのも良いそうです。ミルワームに数箇所切れ目を入れてまぶすと絡まり易いそうです。
量は1日にティースプーン1杯程度で良いです。(白馬ツバメさん情報)

 

・ キャットフード
猫は犬よりも肉食が強いため普通は与えませんが、栄養が添加されているものもあります。(以下ピルクルさん情報)

「はごろもペット」の「ピルチャード(いわし)青缶」
軽いタイプでゼリーで魚が固めてあり、この和食の煮こごりみたいなゼリーの部分にビタミンやミネラルなどの栄養を閉じ込めてあります。塩分は含まれていません。スプーンの背でつぶしてゼリー部と混ぜると粘りがあるので給餌しやすいそうです。水分補給にも良いです。

レッドオレンジピルチャードという製品の「ピルチャード」
材料 いわし
成分 粗タンパク質10%以上、粗脂肪1%以上、粗繊維1%以下、粗灰分4%以下、水分82.5%以下

*情報をお寄せ頂いた皆様、有難うございます。

 

○鶏肉(ササミ)
野生動物の保護施設などでは鶏のささ身を小さく裂いたものを虫の代用食として与えています。与えるときは、喉の通りを良くする為、必ず水で濡らして与えて下さい。(私は大きさは長さ1センチくらい、太さ3ミリくらいから始めました。)
続けてささ身ばかり与えると下痢をする事があります。また、鶏肉にはマレックウィルスがあるため与えてはならないという説もありますのであまりお勧めできません。
必ずすり餌と併用してフンの状態を見てください。

 

水について

巣立ち前のヒナは、すり餌や虫から水分を摂っているので、基本的には水は与えなくても良いとされていますが、フンが固い、水分の少ないフンをするなどの異常があれば水を補ってやったほうが良いです。ただしスポイトを口に入れたり開いた口に水を入れたりしないでください。気管に入って窒息死します!!
必ず閉じたクチバシの端に水滴を一滴つけるようにして与えて下さい。
暑い時、喉が渇いた時はくちばしが半開きになりますので目安にしてください。
温度は人肌より暖かいくらいにして与えてください。
水を飲みすぎると全体にゆるいフンになります。そのまま水が出る事もあります。
フンをよく観察してください。

 

【2】給餌の注意点

冷たいものは与えないでください。冷蔵庫で保管している餌も人肌より少し温かいくらいの温度にして与えます。

 

餌の与え方

餌を口に入れる時は喉の奥の方に突っこんでやると、反射的に飲み込みます。中途半端な位置に水気の多い餌(すり餌など)を入れると気管に入って窒息する事がありますので、思い切って人間なら「オエッ」となるくらいまで奥に入れます。ですから、給餌に使う道具は先の尖ったものは使用しないで下さい。

 

・ 鳥の口の中や餌の与え方については「お急ぎの方へ(2)」も参考にして下さい。

 

給餌の間隔

巣立ち前・・・15分〜最長30分間隔

巣立ち後・・・30分〜最長1時間間隔

※お腹が減ると鳴きだします。実際の間隔はもっと短いです。

 ・ 給餌ごとにフンが出ていれば餌は欲しがるだけ与えて良いです。ヒナが口を開けなくなるまで与えてください。
一気に何口も食べることもありますが、一口食べて1〜2分経ってから次の餌をねだる事もあります。一口で足りたと思っていると栄養が足りなくなる事がありますので慣れるまでは気長に与えてください。

 

食欲がない、口を開けないとき

・ ヒナはまだ目があかない頃は、親鳥が巣に降り立つ振動で口を開けて餌をねだります。その習性が残っているのか、目があいてからも巣箱の縁などを軽く叩くと口を開けることがあります。
クチバシの端を軽くつつくと口を開けたり、音や光にも反応する場合もあります。

 

食欲がない時は、一時的に砂糖で甘みを足すと食い付きが良くなります。
すり餌の場合全体量の5%程度、ミルワームの場合砂糖水にくぐらせて与えます。

 

清潔を保つ

給餌に使った器具や容器は毎日洗って清潔にしましょう。

・ 巣箱内などにすり餌がこぼれた場合、虫が付かないようすぐ掃除しましょう。

くちばしや体の他の部分にすり餌などが付いていると不潔になるので、ティッシュや柔らかい布をぬるま湯で湿らせたものでそっと拭いて取ってあげてください。
喉を圧迫しないよう、くちばしの先端をそっと押さえて頭を固定して拭きます。
特に羽根の生えていないようなヒナはくちばしが柔らかいので、強く擦ったりしないようにしてください。
その後も乾いた布で水気を取ってあげて下さい。

 

生き餌の栄養改善

市販の生き餌のみを与えていると栄養障害で病気になることがあります。

ミルワームをはじめ売られている生き餌は便利ですが、栄養面ではあまり優秀な餌ではありません。
特にミルワームはカルシウム:リンのバランスが悪く、リンを多く含むため、大量に取り続けるとカルシウムを排出してしまい体に吸収しなくなってしまいます。
また、ミルワームのパックに入っているおがくずの様な物はふすま(麦の外殻)でこれしか食べていないミルワームは、カロリーばかり高く、あまり栄養豊富ではありません。ミルワームの餌を変えて栄養を改善してから与えましょう。
ミルワーム以外でも、コオロギ、デュビア、ワラジムシは雑食ですので、同様に栄養改善してからつばめに与えましょう。

 

(1)餌床の改善

餌床はカビの発生を防ぐ為に乾いたものを使用します。
ミルワームはふすまの餌床に入って売られている場合が多いのでこれを取り除き、鳥用のペレット(無着色のもの)や、ドックフードを砕いたものなどをミックスしてふすまの代わりの餌床にします。
鶏雛用の餌、川魚用の釣り餌、葉緑素、クルミ粉、青菜粉、すり餌、削り節などを適宜追加して下さい。(ミルワームを飽きさせないため)
爬虫類を扱うお店などでペット用カルシウムが売られていますのでこれも良いです。
※すり餌のみの餌床にミルワームを入れると、粒子が細かすぎるため窒息して死ぬ事があります。ある程度空間が出来るよう、砕いたドッグフードや乾いたパン粉等と合わせて下さい。
ミルワームはこの餌床で数日太らせた後、サナギになるのを防ぐ為に冷蔵庫で保管します。

 

(2)生き餌に野菜を与える

カビが発生しないよう、またせっかく食べたものがフンになって出ないように野菜類はつばめに与える前日に1日分の生き餌を隔離して与えます。
小松菜、ニンジン、かぼちゃ、ふかしたサツマイモなどが良いです。
野菜類は出来るだけ無農薬のものを選んで下さい。
また、自家製無農薬のみかんの皮を与えると、ビタミン豊富になります。よく洗って干して水気を取ったものを入れてください。
※市販されているみかんには「脱皮障害剤」という虫にとって有害な薬が含まれていますので、自家製みかん以外は与えないで下さい。

 

(3)栄養改善の時間が無いとき  

買って来て栄養改善する時間が無い場合は、鳥用ビタミン剤を水で薄めたものに一晩ミルワームを漬けこんで与える方法も良いです。
すり餌やカルシウムの粉末のものをまぶしてして与える方法もあります。

  

【3】フンについて

成長とフンの変化

フンは幼いヒナほど大きいです。
だいたい給餌ごと(20〜30分おき)にフンをします。
自然界では羽管が開く前のヒナのフンは親鳥がくわえて捨てに行きますので、右の写真のように大きく固めのフンをします。
プルプルとした白っぽいゲル状の液体に黒っぽいもの(その時の餌によって違う)が包まれて、二色に分かれています。白い部分は尿です。虫を食べた後は黒〜茶色の塊、すり餌のときはすり餌の色の塊があります。
堅さは箸でつまめるくらいです。大きさは7ミリ〜1センチくらいあります。

 

 

巣内ヒナの健康なフン

羽管が取れて大人の羽根が開き始める頃(孵化後10日〜2週間位)から、ヒナは巣の外に自分でお尻を出してフンをするようになりますので、この頃からフンはプルプルした感じが無くなり、小さくなってゆきます。その分フンの回数は増えます。飛ぶようになると、白い液体に黒っぽい塊が浮いているような小さなフンをします。

 

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親鳥がフンをくわえて捨てに行く様子

 

フンのチェック

これまでと違った餌を与えた後は、消化不良が無いか、フンを詳しく見てください。

 

・ フンが異常に水っぽい、塊が無く白い液体だけである
→下痢しています。保温して餌をすり餌にして様子を見て下さい。

 

・ 黄色い液体だけである
→衰弱が激しい、餌を食べていないなどかなり危険な状態です。
急いで保温と補液、強制給餌をして下さい。

 

・ 血液が混じっている
→内臓を打撲している可能性→病院を探す

 

・ この他、以上な色や匂いのフン
→感染症の可能性→病院を探す

 

フンは健康のバロメータですので、こまめにチェックしてください。
すり餌は消化が良いようですので、少しおかしいときは何度かすり餌のみを与えてフンの様子を見てください。
それでも直らないようならいつも与えている餌と、新しいフンをサランラップに包んだものを持って動物病院を受診しましょう。

 

 

病院を探す

参考ページ

「すずめっ子クラブ」より 「保護施設・病院リスト」

「すずめっ子クラブwiki」より 「都道府県別資料」

お近くの病院へ行かれる場合、必ず事前に電話して野鳥を診てもらえるか訊いてからにして下さい。

   

  

 

 

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